2026.07.17

玉手箱の話

ふたを少し開けた、黒い金属の箱 tamatebaco

tamatebacoという名前は、昔話の玉手箱からもらいました。今日は、その名前に込めた話を、少しだけ。

開けてはいけない、と言われた箱

閉じた、黒い金属の箱
閉じている間、中の時間は止まっています

浦島太郎が、海の底の宮殿から持ち帰った箱。決して開けてはいけない、と言われた箱です。けれど彼は、浜辺でその箱を開けてしまいます。すると煙が立ちのぼり、時が一気に動き出しました。

子どものころは、かわいそうな話だと思っていました。けれど大人になって読み返すと、これは宝物の話ではないと気づきます。

時間を、しまった箱

玉手箱にしまわれていたのは、金銀財宝ではありません。時間そのものです。開けた瞬間に時が動き出すというのは、それまで箱の中で時間が止まっていた、ということです。

だから玉手箱は、ただの入れものではありません。時間をしまう箱と、それを開けてしまう一瞬。その一瞬の重さを描いた話だと、私たちは受け取っています。

箱に、大切なものを納めてきた国で

工場が作った、金属の品
手が、何か美しいものを作りたがる

日本には、大切なものを箱に納めてきた長い習わしがあります。道具も、手紙も、思い出も。箱は、中のものを守ると同時に、それが特別なものだと、静かに伝えます。桐の箱に入っているというだけで、中身の格が変わって見える。あの感覚です。

私たちの工場も、tamatebacoが生まれるずっと前から、いろいろなものを作ってきました。ひとつずつ模様を入れた金属の品もあります。手が、何か美しいものを作りたがる。その延長に、この箱があります。

あなたにとっての、開けてはいけない箱

ふたを少し開けた、黒い金属の箱
何を入れるかは、あなたが決めてください

tamatebacoに、何を入れるかは決めていません。指輪でも、鍵でも、手紙でも。人には、それぞれ「開けてはいけない箱」があるはずだと思うからです。

アクセサリーを入れる箱、と説明することもできます。けれど、それだけではありません。良いものを、良い場所にしまう。その所作そのものが、持ち物への敬意になります。この箱を手にすることは、ケースを買うことではなく、大切なひとつを仕舞う所作を、暮らしに迎えることです。

そして、何を入れても、たぶん、箱のほうが長く残ります。

この箱が生まれた経緯は、ストーリーにまとめています。あわせてご覧ください。

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